ご挨拶

時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

この度、「九州地区総合技術研究会」を長崎大学主催により開催する事になりました。会の成功を期して、本学の技術職員が一致協力して開催準備にあたっているところです。

「九州地区総合技術研究会」は主として九州地区の大学、国立高等専門学校機構に所属する技術職員を対象として行われる隔年開催の研究会です。九州ブロックの密な連携を目的として、平成23年度に鹿児島大学に始まり、今回平成25年度は2回目の開催となります。本研究会ではいわゆる研究発表はもとより、日頃行っている様々な実験、製作、運用等の業務における創意工夫、失敗談、改善など技術職員誰しもが普段に経験している出来事を題材に発表を行い、問題を共有し、所属する各機関の課題解決に役立てようとするものです。

また、初日に予定しているシンポジウムでは、そのテーマとして、東日本大震災による放射線被害から4年目を迎えた「福島」を取り上げ、いち早く「福島」に関わり、現在も活動を続けている長崎大学教員による基調講演を企画しています。その中で、大学の技術職員は「福島」に何が出来るかという事も考えてみたいと思います。

グローバル化する社会における大学の役割を考える時、大学を構成している技術職員は、教員、事務部との協働が不可欠であり、各技術職員の知識、技能の向上もまた大切な課題となっています。この研究会が実りあるものになり、大学の責務である教育、研究、地域貢献の振興につながることを願っています。

長崎大学長 片峰 茂

長崎の街、長崎大学の紹介

長崎の街は、港を中心に周りを取り囲む山に向かって広がり、その中腹までぎっしりと家屋が建ち並ぶ景観は、世界新三大夜景に指定されています。古都・京都を思わせる町並み、中国人居留地の建物、旧グラバー住宅など明治・大正期に建てられた洋館が残っています。まさにエキゾチックナガサキ。日本三大祭りの一つである「長崎くんち」(10/7~9)での各踊り町の奉納踊りは、和、華(中国)、蘭(西欧)文化のオンパレード。各文化が融合して独自に洗練され、生み出された民俗文化が息づいています。

長崎は、江戸期唯一の海外との窓口であった事から、長崎大学の創基は古く、安政4(1857)年、オランダ軍医ポンペが開始した医学伝習所の設置(医学部の起源)であり、156年の歴史を持ちます。工学部は、1966年4月1日創設、今研究会開催場所の文教キャンパスの一角に位置します。この地は、浦上と呼ばれ昭和20年8月9日に投下された原子爆弾の爆心地にから1.4kmの地点に当たります。 医学部、大学病院は、戦前から現在と同じ浦上の坂本キャンパスに位置し、爆心地から400mと近距離で、当時の大学関係者の多くが命を奪われ、傷つきました。医薬品もほとんど無い情況で被爆者の治療にあたり、今日までその任務は引き継がれています。放射線被曝医療の先駆的機関としてチェルノブイリ原発事故、福島原発事故での支援協力は、記憶に新しいところです。

この研究会では、山下俊一副学長にこの件での特別講演をお願いしております。 「長崎大学は、長崎に根づく伝統的文化を継承しつつ、豊かな心を育み、地球の平和を支える科学を創造することによって、社会の調和的発展に貢献する。」これが大学の理念です。

実行委員長 大濱 祐七郎